ウイルス性胃腸炎
主にノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスといった、ウイルスを原因とする胃腸炎の総称です。
感染経路について
感染経路は経口感染(病原体に汚染された水や食べ物を摂取したり、感染者の接触したものを口に含む、汚染された糞便を処理するなど、間接的に病原体が口に侵入することによる感染)です。
ウイルスの種類
ノロウイルス
潜伏期間は1-2日です。症状は突然発症する嘔吐に水様性下痢、腹痛です。
毎年11月から12月にかけて流行します。症状は2-3日で改善しますが、年少児では症状が長く続くことがあります。
ロタウイルス
潜伏期間は2-3日です。症状は嘔吐で発症しその後、水様性下痢がみられることが多いです。
発熱は約30%にみられ下痢の性状は水様便が多く、約半数に豆腐を潰した、あるいは紙粘土のような白色便、クリーム色便がみられます。症状は3-7日間続きます。
アデノウイルス
潜伏期間は3-10日です。乳児期に多く、症状は他のウイルス性胃腸炎と同様に嘔吐、下痢、腹痛、発熱などがみられます。
胃腸炎以外では呼吸器感染症(咽頭炎、扁桃炎、肺炎)、咽頭結膜熱(プール熱)、流行性角結膜炎、出血性膀胱炎などを引き起こすこともあります。
治療
ロタウイルスにはワクチンがありますが、他の胃腸炎ウイルスにはワクチンは存在しません。
そのため、治療は対症療法が主で、脱水状態にならないように、水分補給をしてあげることが治療の中心となります。
口から水分を補給することが難しい状態の場合は、点滴で直接水分を補給する場合もあります。
お家でできること
お子さんには脱水予防のため、水分をこまめに補給してあげてください。
その際の飲料は、水分だけでなく塩分や糖分といった電解質も含まれている経口補水液を少しずつあげるようにしましょう。
吐いてしまうからといって水分を飲ませないのは、脱水症状を引き起こしてしまう可能性があり危険です。
経口補水液の作り方
水1Lに対し砂糖40g(大さじ4.5杯)と食塩3g(小さじ0.5杯)を溶かして作ります。
1-2日で使い切って下さい。
*本邦ではOS-1、アクアサポート、アクアライORS、アクアソリタなどが市販されています。
上記の内容でお子さんが嫌がる場合には少量の果汁などで味付けをしてあげてください。
WHOが推奨している摂取量は最初の3-4時間で1kgあたり50-100ml(体重10kgのお子さんの場合は500-1000mlが目安となります)です。
脱水が補正されたら消化の良い食べ物から開始します。
嘔吐のお子さんでは5mlの経口補水液を5分ごとに飲ませて、それを繰り返し徐々に増量していって下さい。
嘔吐をしてしまった場合でも様子をみつつ繰り返しますが、だんだん調子が悪くなる、嘔吐が持続する場合は医療機関を受診しましょう。
医療機関受診の目安
- ① 6カ月未満または体重8㎏未満の乳幼児
- ② 未熟児で出生した乳幼児または先天性疾患や慢性の病気で通院中の乳幼児
- ③ 3カ月未満で38℃以上、3カ月から3歳で39℃以上の発熱を認める乳幼児
- ④ 肉眼的に血便を認める乳幼児
- ⑤ 頻回かつ多量の下痢(1日10回以上)、排出量が多い下痢を呈している乳幼児
- ⑥ 半日以上嘔吐が持続している乳幼児
- ⑦ 中等度以上の脱水徴候(眼のくぼみ,粘膜の乾燥など)を認める乳幼児
- ⑧ 傾眠傾向など神経症状を認める乳幼児
- ⑨ 工夫しても経口補水療法をうまくできない乳幼児
*予防にはこまめな手洗いが重要です。
- ※診療科により休診の曜日があります。
詳しくは医師勤務表を確認お願いします。