熱性けいれん
定義
主に生後6~60か月までの乳幼児期に起こる。
通常は38℃以上の発熱に伴う発作性疾患(けいれん性、非けいれん性を含む)で、髄膜炎などの中枢神経感染症、代謝異常、その他の明らかな発作の原因がみられないもので、てんかんの既往のあるものは除外される。(熱性けいれん診療ガイドライン 2015より)
原因として子供の脳は熱に敏感で未熟なために起こると言われており、本邦での有病率は7~11%と報告されています。
症状
- 1)意識消失(突然意識がなくなります)
- 2)眼球上転(眼球が白目になります)
- 3)手足の強直(突っ張ったり)、間代(ガクガクしたり)、もしくはその両方が起こります。
治療
けいれん持続時は抗けいれん薬の注射や必要に応じ酸素吸入、点滴を行います。
けいれんが停止している場合は再発予防目的でダイアップという抗けいれん薬の坐薬を使用します。
予後
熱性けいれんは5-6歳で消失する予後良好な疾患です。
また、全体の30%に再発すると言われております。
再発予測因子は以下の4因子です。
- 1)両親いずれかの熱性けいれんの家族歴
- 2)1歳未満の発症
- 3)短時間の発熱-発作間隔(概ね1時間以内)
- 4)発作時体温が39℃以下
けいれん時の対処法
ほとんどのけいれんは5分以内に停止します。そのため、大事なことはパニックにならずに落ち着くことです。
その上で下記の事を確認して下さい。
- 1)意識はあるか(問いかけ、もしくは軽く肩などを叩いてみて視線が合う、返答があるなどの反応があればけいれんの可能性は低です)。
- 2)1)で反応無い場合はけいれんの可能性があります。その際は体、顏を横向きにし、吐物などの誤嚥を避けるようにして下さい(窒素しない様に嘔吐した場合は指で口腔内の吐物を掻きだしましょう。物を噛ませてもいけません)。また、周囲に危ないものがあれば除けて下さい。
- 3)1)、2)を行った後、けいれんの様子を観察しましょう(可能なら携帯で動画を撮影)。
1.目つき(目が上下左右のどこを向いているか)
2.手足の状態(屈曲している、伸展している、突っ張っている、脱力としている等)
3.けいれん持続時間
4.けいれん停止後の体温測定
救急車要請、夜間医療機関受診の目安
- 1)けいれんが5分以上持続
- 2)けいれん停止後も顔色不良や呼吸異常が続く
- 3)けいれんを繰り返す、けいれん消失後も意識が回復しない
(けいれん停止後は1-2時間寝てしまう事もあります:postictal sleep 発作後の睡眠) - 4)嘔吐遷延、頭痛を伴う場合
夜間の場合、上記以外は慌てて医療機関を受診する必要はありませんが、翌日には医療機関受診をお勧めします。
ダイアップの使用方法
1回目
体温37.5℃以上の発熱がみられた時点で使用します
2回目
1回目の8時間後に使用します。
8時間後に解熱していれば、使用しないで様子をみても構いませんがその後に発熱があれば2回目を使用して下さい。
3回目
基本的には不要です
熱性けいれんは発熱後、24時間以内に起こることが多く、ダイアップを2回使用することで24時間予防効果があるとされています。
*ダイアップはけいれん予防薬ですが、熱性けいれんを経験した児の全員に使用するものではありません。
*熱性けいれんを起こした時に再発目的で使用することはあります。
*解熱剤の坐薬はダイアップ使用後、30分以上あけて使用して下さい。
*発熱時にけいれん予防が必要かは主治医と相談しましょう。
- ※診療科により休診の曜日があります。
詳しくは医師勤務表を確認お願いします。